ピロリ菌という細菌をご存知ですか?
実はこのピロリ菌が、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんまで、さまざまな病気の原因となっていることが知られています。
繰り返す胃の不調に悩んでいる人、慢性的な胃の痛み(長期間続く胃の痛み)に困っているという方は、もしかするとピロリ菌に感染している可能性があります。
胃内に生息するピロリ菌を除菌することで、胃潰瘍や胃がんの発症を抑えることが明らかとなり、
現在では『ピロリ菌は見つけ次第除菌』というのが医療のセオリーとなっています。
さて、そんなピロリ菌は一旦おいておいて…
と感じた経験のある方はいませんか?
そうなんです!
梅干しを食べると胃の不快感を取り除くことができる可能性があるのです!!
ということで今回は、『胃の不快感を取り除く梅干し』と『胃を攻撃するピロリ菌』にはどんな関係性があるのか?ということを紹介していきます。
梅干しが胃もたれに効くってホント?
二日酔いや胃もたれなどの不快感が出現している時に梅干しを食べると、症状が緩和され、『胃がスッキリする』というものです。
梅干しによる胃もたれ改善効果は、昔から代々伝わってきた民間療法ではありますが、近年科学的にその効果が解明されつつあります。
梅干しで消化吸収が促進する秘密
梅干は唾液を分泌する効果が非常に高いです。
その理由のひとつには、唾液に含まれるアミラーゼという成分にあります。
アミラーゼはデンプンなどを分解し、消化吸収を促す作用があります。
そのため、唾液分泌を亢進する梅干しには、消化を助ける作用があるのです。
また、梅干の酸味の主体であるクエン酸という成分には、胃腸の働きを活発にして、タンパク質の消化を助ける働きがあります。
このように、科学的にも経験的にも梅干しには『胃をサポートする』働きがあります。
二日酔いの時に梅干しを食べたくなるという人はいませんか?
ピロリ菌とは??
ではここからは、ピロリ菌について紹介していきます。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌です。
胃は胃酸によって守られているため、基本的には細菌は生息していません。
しかし、ピロリ菌は胃酸から自分自身を守るバリアーのような機能を備えており、一度感染すると、胃内に生息し続けることになります。
ピロリ菌は除菌すべき?
ピロリ菌に感染したからといって、すぐに症状が出現するわけではありません。
しかし、長期間ピロリ菌が感染していると、胃の粘膜が徐々に攻撃されてダメージを受け、『萎縮性胃炎』という胃の炎症状態を発症します。
ひどい場合には胃潰瘍(胃の粘膜に潰瘍ができる)などの症状が出現します。
これらが慢性的な胃の痛みの原因となります。
とはいえ、胃の粘膜に多少のダメージを受けても、人間の細胞は自己修復するため、すぐに大きな問題にはなりません。
しかし、炎症と回復を繰り返すことで、徐々に胃の粘膜が疲弊し、最後には胃がんを発症する可能性があります。
近年では、胃がんの原因の大半がピロリ菌によるものだということが分かっており、『見つけ次第ピロリ菌は除菌する』ということが大切です。
梅干しでピロリ菌を抑え込むことは可能か?
【注意】
まずは、『梅干しでピロリ菌は除菌できるわけではない』ということをご理解下さい。
そのため、本記事は、毎日梅干しを食べればピロリ菌に感染しないとか、毎日梅干しを食べれば胃がんにならないといったような話ではありませんので、ご了承下さい。
ポリフェノールがピロリ菌生息を抑え込む?
顕微鏡の視野の中でするすると動いていたピロリ菌が、梅干しの成分を加えて10分ほどでほとんど動かなくなった。
参考)朝日新聞デジタル
梅干しに含まれる成分がピロリ菌の動きを抑制するという研究結果が報告されています。
このように、梅干しにはピロリ菌を抑え込むパワーがあるのかもしれません。
とはいえ、『ピロリ菌は見つけ次第除菌』というのがセオリーであることを忘れてはいけません。